第16回石川リウマチ薬物治療研究会

11月9日(土)に開催され参加しました。

メインは、今話題のリウマチの新薬JaK阻害薬について、日本では第一人者である産業医科大の山岡邦宏先生の特別講演でした。基礎医学的な内容も含め、大変興味深く聞かせていただきました。日本でもすでに認可されたJaK阻害薬のトファシチニブ(ゼルヤンツ)は内服剤でありながら生物学的製剤に勝るとも劣らぬ効力を持つ一方、帯状疱疹等の感染症が多いとされています。

ゼルヤンツは、JaKを介してインターロイキン6のシグナル伝達を阻害する他、抗TNF剤のようにTNF-αを抑制したり、アバタセプト(オレンシア)のようにT細胞の活性化を抑制する効果など、現在の生物学的製剤を併せ持つような働きをするようです。

先日の米国リウマチ学会(ACR2013)では、ゼルヤンツで悪性腫瘍が有意に増加することはないとの報告がありましたが、少数とはいえ稀な腫瘍が起こった例もあり、投与前のスクリーニングをしっかり行い、慎重に経過をみることが望ましいようです。講演終了後も山岡先生には、いろいろと質問に丁寧に答えていただき、有意義な時間となり、深謝致します。

一般演題の部門では、私も「エタネルセプト(エンブレル)減量下にて長期寛解を維持している関節リウマチ(RA)症例の検討」とのタイトルで発表させていただきました。生物学的製剤を使用し、低疾患活動性もしくは寛解に至ることは多くなったものの、投薬をやめてしまうと1-2年後にはその多くでは再燃してしまうことがわかっています。一方、プリザーブ試験という有名な試験で、RAが低疾患活動性となった後にエンブレルを半量に減量した場合は、少なくとも1年はほぼその状態が維持できることがわかっています。今回の私の発表では、寛解後、さらにエンブレルの減量を重ね、5-6年間経過をみて、寛解(臨床的、画像的、機能的)を維持できている例の報告をさせていただきました。生物学的製剤の大きな問題は費用ですので、できるだけ少ない投薬量で寛解を維持できれば、大きな福音となるでしょう。ただし、減量途中で再燃される方も多いので、しっかりとした経過観察と評価が必要となります。多くの質問もいただき、御質問いただいた先生方、また御参加いただいた先生方やコメディカルの方々にも御礼申し上げます。

hidamari

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