線維筋痛症学会に参加しました。

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日本線維筋痛症学会の第5回学術集会が、10月5日と6日に横浜市開港記念会館で開かれ、参加してきました。歴史のある建造物での学会というのも粋なものです。

1990年の米国リウマチ学会の診断基準から較べると、2010年の診断分類基準及び2011年の改訂基準では、患者さん自身の自己申告に依存する点が多く、リウマチ性疾患としてリウマチ科で診断治療して良いものか、日常診療では悩むことがあります。

米国精神医学会が今年新しく出したDSM-5という分類基準からすると、線維筋痛症のような病状は、Somatic symptom disorder (身体症状障害)という、これまでの身体表現性障害よりさらに広義な分類に入ってしまうようです。どの科が主として扱う疾患なのかさらに曖昧になりそうです。

関節リウマチにおける抗CCP抗体のように、診断や予後予測に多いに役立つ血清マーカーがあると助かります。線維筋痛症では、抗VGKC複合体抗体(抗電位依存性カリウムチャンネル複合体抗体)は一定陽性となるようですが、感受性、特異性とも、決め手としてはやや弱いようです。

診断においても、疾患の中核をなす群なのか派生する亜系の群なのかが明確に区別できないため、当然ながら治療体系もスッキリという訳には行きません。今も個々の医師が我流の治療を行う事が多いようです。線維筋痛症の薬物療法では高名な岡寛先生の講演を拝聴しました。先生が日常的に行っている治療チャートを提示され大変参考になりました。質疑応答では、疾患活動性や治療の有効性の判断の根拠、治療薬の増量や変更の判断のタイミング、有効であった場合の減量の判断などについて、私の方から質問させていただきました。

私もそうですが、昔からリウマチ性疾患に関わっている医師は、少なからず、今の線維筋痛症が置かれた状況は20年前位の関節リウマチの状況に似ていると感じているようです。

現在のリウマチ医療は診断、治療に格段の進歩を遂げ、パラダイムシフト(劇的変化)と言われる所以です。線維筋痛症にもこのような日が早く来て欲しいものです。

今月末に開催される米国リウマチ学会においても、米国精神医学会のDSM-5を受けて、また議論されることと思いますので、しっかりと聞いて来たいと思います。φ(..)メモメモ

 

hidamari

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