本日は学会報告をさせていただきます。
第24回中部リウマチ学会が8月31日と9月1日の二日間名古屋にて開催され、参加して参りました。リウマチ医療に関連する様々のトピックについて発表が行われ、活発に討議が行われました。会長講演では名古屋大学の石黒先生が、名古屋のグルメ情報も満載のユーモア溢れる内容で、リウマチ治療の展望を述べられました。
個人的な印象では、学会を通してもっとも注目を受けたのは、数々の新しい生物学製剤とその比較試験もさることながら、新しい抗リウマチ剤として期待されるトファシチニブ(JAK阻害剤)についての報告であったかと思います。
これまでのところ、効果や副作用の程度は既存の生物学的製剤とほぼ同等と考えられていますが内服剤であることころが特徴です。これも夢の薬ではなく、感染症、高脂血症、白血球減少などの副作用が出ることが有り、発癌性などについてもデータを集積する必要性があるとして、米国での認可が数ヶ月延期されています。
興味深かったのは、当初はJAK3という部位を選択的に阻害することで効果と安全性を高められると考えられましたが、最近ではJAK1の阻害が良いとも考えられる、という竹内先生の講演でした。実は、7月、8月に当院で行ったリウマチスクールにて、6月に行われたヨーロッパリウマチ学会の報告として、トファシチニブ以外の最新のJAK阻害剤の成績も話しましたが、参加していただいた方は覚えておられますか?ACR20(治験で良く使用されます)という指標で見た有効性では、JAK1阻害剤のGLPG0634という薬剤が92%と1番良い数字が出ていましたね。
ところで、今回は時間も厳しい中、学会を最初より最後まで通して出席しました。学術的な報告の内容の他に、プログラムや全体の運営をいかに行っているのか見てきました。というのも来年第25回の中部リウマチ学会は城北病院の村山先生が会長として金沢で主催することとなりました。私も現在は上荒屋クリニックの所長という立場ですが、主催者側の一員として、身の引き締まる思いです。多くの関係される方々の御支援のもと、中部地方のリウマチ医療の水準の高さを示せる学会になればと念じております。
次回の学会開催予定の垂れ幕の下で城北病院の村山先生が挨拶しています。
まだ1年後ですが、すでにポスターは出来ています。夜のひがし茶屋街に加賀友禅です。
白山や金沢駅のスナップショットも捨てがたいですが、少し遊び心が出ていて良くないですか?
バイオ製剤全盛期のRA治療にあって、テーマは敢えて地域完結型医療、ユニバーサルデザインにスポットを当てています。誰もが自分の住む地域にて、最高水準の治療が差別無く受けることができるようにとの願いが込められています。 (*^_^*)